
赤べこ職人
柳津町で工房とショップを営む赤べこ職人。地元群馬の大学を卒業後、会社員を経て、2019年に地域おこし協力隊の事業を通じて職人の道に。野沢民芸で研修の後、「Hitarito」の屋号で赤べこづくりを開始。現在は柳津駅舎に工房を構え、制作の傍ら只見線を見送っている。

只見線でお見送り
あ、電車来ちゃった!すみません、ちょっと中断してもいいですか?
この工房、駅舎なんで、電車が来る度にお見送りで手を振ってます
只見線が豪雨災害で不通になってから、再開通までかなり時間がかかってしまって。待望の再開通だったし、乗る方もきっと楽しみにして来られるだろうと思って、いつも、こう手を振ってます




はせ川屋さんでちょっと寄り道
ちょっと「はせ川屋」さん寄り道してっていいですか?
あわまんじゅう屋さんです。柳津の銘菓で、災害が多い土地だったから災害にこれ以上遭わないようにってことであわまんじゅうらしいです
ここのはせ川屋さんは、こしあんで生地があっさりしてて歯切れがいいおまんじゅうです。やっぱりおいしいですね、ふふふ




KAWAII赤べこ
最近、福島のテレビ局の企画で増田セバスチャンさんに監修してもらった商品つくったんです
ショッキングピング使ったり、デコレーションしたり
まず増田さんにカワイイとは?みたいなのをこう浴びせてもらって
それを受けて自分で、こういうのつくってみたんですけどどうですか?みたいな感じで監修していただいて




一日中絵付け漬けでした
協力隊で採用された後は
西会津町の野沢民芸さんで研修しました
赤べこたくさんつくってらっしゃる企業さんで
着任日の次の日から絵付けの担当になりました
胴体と首が運ばれてきて、一日中絵付けだけして
いかに早く上手につくるかなんですけど
私は一日、最高100個くらいでしたかね
長年、赤べこの絵付けやってる職人さんは
もう半日もしないで100個くらい仕上げちゃう
どうなってんだろうって、ずっと思ってました
サンドイッチつくってドライブ
休みの日はドライブですかね
ちょっと時間が取れたら、車で出かけます
サンドイッチつくって猪苗代湖とか行って
駐車場で食べて帰って来るとか
そういうの好きですね
運転きらいじゃなくて
時々この車で東京まで出張行ったりしますし
去年は東京で仕事が終わった後
そのまま車で三重まで行って
友達と会って、次の日金沢に泊まって
で、新潟回ってー帰るっていうドライブしました
龍神様バーサス人間
圓蔵寺さんで七日堂裸詣りってあって
毎年一月七日に、曜日関係なく行われてます
ここの川の主の龍神様バーサス人間の伝説が元で
悪病退散のために人間が龍神様から
奪った宝玉を龍神様が取り返しにくるんです
で、それを奪われないように
下帯一つの男たちが圓蔵寺の麻縄を登って
守るっっていう。もう壮観ですよ
下帯一枚で、この石段走ってトットットッて
真冬ですよ、積もった雪に素足ですよ


工房とお店は
柳津駅の中にあります
工房とお店は
柳津駅の中にあります
群馬県出身でここに来るまでは会社員をやってました
でも、ずっと職人さんの仕事をしたいなと思ってたんです
それで二十八の時に転職しよって思った時に
いろいろ調べてて、赤べこ製作の仕事を見つけたんです
地域おこし協力隊のお仕事で
柳津で赤べこの職人になって工房を開くっていう内容で
で、応募したら採用いただいて
二〇一九年の六月に、柳津に引っ越してきました
西会津の「野沢民芸」さんで技術研修を受けて
二〇二四年に、ここの柳津駅に工房とお店をオープンしました
圓藏寺の舞台から
圓藏寺の舞台から
最初に柳津に来た時、ここの圓藏寺に来たんです
この舞台から見た雪景色があまりにもきれいで
単純にここ住みたいなって思いました
他にも見学行く予定だったんですけど
もう他の見学行くのやめてここに来ようって決めました
地面の一番下からこの舞台までは
京都の清水寺より高いんですって
いつ来ても好き、いい場所です
ちょっと行き詰まった時とかは、「散歩行ってきます」って
だいたいここに来て、お参りして帰ります
どこからともなく現れて
どこからともなく現れて
赤べこ伝説って謂れを全部くっつけると
つじつまが合わなくなるんですけど、ははは
数百年前に圓藏寺が災害で倒壊して
再建を手伝った赤牛が、赤べこなんです
再建のための木材が重くて運べなくって
もうみんな誰が運ぶのっていう状態になっちゃってたんですけど
そしたら、どこからともなく赤毛の牛がやって来て運んだっていう
そうそう、諸説ある中で
「どこからともなく現れて」ってのは、みんな共通してるんです
どこからともなく現れたのは本当なんでしょうね、ははは
赤べこラッピングしてました
この赤べこのバス、町中を走ってるんです、最初1台だったのが2台、3台になって
これ私がデザインしたデータが使われてるんです
柳津に赴任して早々コロナで、あんまり工房入れなかった時期に役場のお手伝いしてて
その時に、庁舎のエントランスとかマイクロバスとか、赤べこでラッピングしたんですよ
赤べこラッピングしてました
赤べこファミリーを探せ
柳津にはいろんなところに赤べこがいるんですよ、赤べこ一家って言って、親子なんです
圓藏寺が見える駐車場には福太郎っていて、境内には普段お母さんの満子っていうのがいるんですが、冬になるとそれぞれ屋根のある場所に移動して過ごすんですよ(笑)
で、駅舎にいるのは赤ちゃんのやなぎまる。このやなぎまるは車輪がついてて自走できます
赤べこファミリーを探せ
金子勝之さん
こんにちはー、勝之さん
あ、いいですか?お邪魔しても
こちら、私が柳津に移住した時からお世話になってる金子勝之さんのお宅です
自然栽培の農家さんで、自家製の納豆とか味噌もつくってて
勝之さんは、私みたいな移住者にも親切にしてくれて。娘みたいに可愛がってくれてるんです。私が移住してきてすぐの頃ですかね?ピザパーティーを開いてくれてね、それからかな?ね、懐かしいですね
そうそう
移住者の人たちのお世話にならないと、奥会津なんてぺしゃんこんなっちまうって思ってね
みんな集まってワイワイとね
うちも娘がいてもう40なんだけどね、家を出てからたくさんの人にお世話になっただろうって思うとね、私もお返ししたいと思ってね
ピッチャーで黒蜜
あ、こちら、私がお世話になってる勝之さんの奥様のミキコさんです
あらあら、葛切りですか?ありがとうございます、え、すごーい
黒蜜たっぷりですね、ピッチャーに入ってる、ははは
好きなだけかけて食べられますね、いただきます
弘法大師の大清水
こんにちは、お水汲みですか?
ここは柳津の大清水っていって、弘法大師が杖で岩を突いたら出てきたって言われてるんです。町の方がきれいに管理されてて
くせがなくて、ザ軟水って感じで、こだわる方は毎朝この清水でコーヒー淹れるらしいですよ
目にダメージいってるみたい
ずっと絵付けしてると結構、目に負担かかってるみたいで
牛を興奮させるような色じゃないですか、赤って
ずっと見てると緊張するんでしょうね、だから、肩こりがすごくて
例えば、グレーの赤ベコつくってる日の方がましなんです
サングラスとかつけてやるしかないかもしれないですね
プロフィール

やないづ張り子工房 Hitarito / 赤べこ職人
伊藤 千晴(いとう ちはる)
柳津町で工房とショップを営む赤べこ職人。
地元群馬の大学を卒業後、会社員を経て、
2019年に地域おこし協力隊の事業を通じて職人の道に。
野沢民芸で研修の後、「Hitarito」の屋号で赤べこづくりを開始。
現在は柳津駅舎に工房を構え、制作の傍ら只見線を見送っている。


