
味噌職人・麺職人
只見町にある明治32年創業の目黒麹店で味噌と麺をつくる職人。高校まで只見で過ごし、仙台の専門学校へ。エンジニアとして横浜で7年間勤務した後、27歳で実家に戻り、家業に入る。「商品開発は苦手です」と笑うが、最近開発した南郷トマトラーメンは大ヒット。

今では幻、餃子の皮
新しい商品、いろいろチャレンジしてるんですけど、失敗もありまして
昔、餃子の皮とかもつくってたんですけど、手間がかかりすぎて、美味しいのは美味しいんですけどね
つくるのが大変で販売はやめてしまったんです。今でもお客さんから「餃子の皮ある?」って聞かれるんですけど…ないんです(笑)




只見は、やっぱ秘境ですね
この先もう集落も街も村もないんで福島県の一番奥地なんです
ここ秘境だったんだ、って専門学校で仙台に出た時に思いました
こんなところだから只見の人ってみんな真面目で、サボる人とか遅刻する人も、まあいないんですよ。それが仙台だといるんです「ああ、サボる人って本当にいるんだ」ってカルチャーショックでした




これからの時代は玄米
この辺りがうちの味噌で
糀がいっぱい入っていると甘口の味噌になります
「生みそ」が12割「こだわりみそ」が15割で
「極みみそ」は18割
この「玄米美」っていうのは
2019年に県知事から表彰してもらったんですけど
玄米糀を原料にしてつくった味噌です
これからの時代は玄米でしょう、ということで
通常は糀室で糀つける時には白米を使うんですけど
これは玄米を使ってます
これからの時代はパソコン
私、当初は家業を継ぐようなことは全く考えてなくて
これからの時代はパソコンでしょう、ということで
専門学校行ってエンジニアになったんですね
7年ぐらいですかね医療系のプログラミングやってました
朝から晩までずっと1日中、画面見てっていう生活でした
今の仕事はガラっと変わって
体動かしてた方が、性に合ってるなって思います
今思えば、エンジニアは合ってなかったですね(笑)
今、戻れって言われても戻れない
※朝はパン
※ラーメン、味噌焼きおにぎり
※奥さんと二人で


味噌職人であり
麺職人である
味噌職人であり
麺職人である
うちのメインは味噌と糀と
あとちょっと変な組み合わせなんすけど生麺をつくってます
目黒麹店は明治の32年に創業して今年で122年かな
私で7代目なんですよ
味噌づくりに使う糀を販売する糀屋だったんですけど
そのうち味噌の販売も始めて
麺は5代目のおじいちゃんが始めました
私は27歳の時に帰ってきて
それからずっと味噌と麺をつくってます
うちの麺
いろんなお店で出会えます
うちの麺
いろんなお店で出会えます
うちの麺、いろんなお店で使ってくれてます
あっちに只見スキー場ってのがあって、ロッジがあるんすけど
うちのラーメンとか味噌を使ってもらってます
只見町内だと、五十夢(いとむ)さんでも使ってもらってます
おかあさん2人で始めたらしいんですけど
ラーメン屋さんみたいな食堂やるのが夢で
50歳の時に夢が叶ったということで、五十の夢でいとむ
私も食べに行きますよ
おすすめは坦々麺です
エンジニア時代の名残
エンジニア時代の名残
これは私がセッティングした棚ですね
エンジニアっぽいですか?
確かにエンジニアの時は整理整頓してって
教育だったかもしれないですね
あっちのカレンダーもぴちっときれいに貼ってあるんですけど
よく見てください、あれ2020年ですからね
去年から変わってない
几帳面なのか適当なのか、どっちですかね?
休みの日は配達してます
休みの日は配達してます
「のこぎりのようにして働け」っていうのがじいちゃんの口癖で
例えば、会津若松まで出かけるんなら、行く時は商品積んで
帰ってくる時は車がカラになるから
今度はコメとか大豆とか原料を積んでこい、と
押し引き、どっちも切れるような仕事をしろってことなんです
それで育ってきたんで
毎週火曜日が定休日でどっか出かけるんすけど
車がカラの状態では行かないですね
味噌とかラーメンとか積んで配達してます
半煮半蒸がちょうどいい
今日は味噌の仕込みがないんすけど
大豆と塩とお米は地元の只見産で添加物を一切使用してないんです
うちの特徴は半煮半蒸しっていうんですけど、圧力鍋みたいなもので大豆を半分蒸して、半分茹でるっているつくり方なんです
全部蒸しちゃうと色が濃すぎるし、全部茹でてしまうと栄養価や旨味も茹で汁に逃げてしまうんで、いいとこ取りで。こだわりというか昔ながらの製法です
半煮半蒸がちょうどいい
必要に迫られてDIY
ものつくるの好きですね、DIYとかも好きで
工場の中の棚とかは、全部私がつくりました
お店の中のカウンターもそうだし、このざるを載せてる脚も自分でつくってます
趣味というか、必要に迫られてつくってるだけなんですけど、ははは
必要に迫られてDIY
モチモチ、つるつる
ここは事務所で発送とか事務作業してます
この裏が製麺工場でラーメンとかうどんとか素麺とか、あと年末だけ年越し蕎麦もつくってます
数種類の小麦をブレンドして練ってるんですけど、ひとつは福島県産の「ゆきちから」って小麦を使ってます
これが製麺機で、小麦に水を加えて練り上げて、こっちでこういう帯状にして
麺の太さに合わせて薄くのばして、この刃を通ると麺になって出てきます
福島って喜多方とか白河とか、水分量の多い太麺が主流なんすけど、うちはそれに比べてもっと水分量が多くて、食感としてはモチモチ、つるつるです
新婚旅行まだ
行ってないんです
この辺、ウォーキングのコースです
嫁さんと一緒に30分から1時間くらい、話しながら歩いてます。私ほとんど仕事しかしてないんで(笑)コミュニケーションが足りないだろうということで、一緒に歩いてます
結婚したのは去年で、まだ新婚です
嫁さんは山形の新庄出身で、こっから車で5時間か6時間。なので帰るときはもう覚悟を決めていかないと
休みとれたらヨーロッパとか行きたいですね、まだ新婚旅行に行けてないので
あっこがずっと桜の木なんですけど、ちっちゃい頃はここで花見したりしてましたね
ここの公園は子どもの頃からあってピクニックしたり、友達と滑り台したり
ブランコ乗ってみますか?久しぶりに
糀と麺は全く関係ありません
おじいちゃんが大阪で修行した時に、あっちで美味しい生麺と出会って、これを何とか地元の人にも食べてもらいたいってことで麺をつくり始めたんです、糀とは全く関係ないです
当時、周囲は大反対だったらしいです、ははは、当然ですよね、生麺なんかこっちの人たち食べたことないし
でも、今や味噌が6割、麺が4割くらいの売上になってます
行ったが最後
私みたいに地元戻って跡継ぐのは稀ですかね
同級生も元々人数少ないですけど、ほとんど地元から出てますね
1回やっぱ東京とか行っちゃうと、もう戻って来ない、行ったが最後ですね
ああ、ブランコ久々に乗ったな、大丈夫ですか?この絵(笑)
中学の部活は二択
部活は中学が卓球、高校はテニスやってました
生徒少ないんで、そもそも部活がなくて
中学の時は野球か卓球の二択、高校行くと多少選べるようにはなるんすけど、野球、卓球、テニス、パソコン部の4択。倍になるんですけど
プロフィール

目黒麹店 / 味噌職人・麺職人
目黒 大地(めぐろ だいち)
只見町にある明治32年創業の目黒麹店で
味噌と麺をつくる職人。
高校までを只見で過ごし、仙台の専門学校へ。
エンジニアとして横浜で7年間勤務した後、
27歳で実家に戻り、家業に入る。
「商品開発は苦手です」と笑うが
最近開発した南郷トマトラーメンは大ヒット中。

